コラム 〜「私のバランス・スコアカードとの"出会い"と"想い"」〜

1.はじめに

昨今、経営革新や企業戦略の見直しの重要性が指摘されています。戦略とは、経営者がなりたい事業の姿を実現するために"どうやって勝っていくのかを具体的に表現する"ことです。実行される戦略の策定、戦略の実行管理を行うには、バランス・スコアカード(BSC)が非常に有効です。そのため、私は、中小企業の皆様へのBSC導入の必要性を強く感じておりました。そして、より多くの中小企業の皆様にBSCを通じて、戦略的な経営の重要性を知っていただきたい。戦略的な経営を行っていただくためにBSC導入支援を行うことにより日本経済の活性化につなげていきたいとの思いからBSC導入の指南書の執筆を決意し、昨年10月11日に「小さな会社にも活用できる!バランス・スコアカードの創り方」同友館から出版しました。

2.バランス・スコアカード(BSC)との出会い

私は、2004年2 月にUKK 上宮経営開発研究所を開設し経営コンサルタント(中小企業診断士)として独立しました。独立にあたり、自身の事業計画書を作成する中でUKKの活動の中心(核となる商品)としてコンサルタント活動を中心にしていくことを決めしました。また、より多くの企業と関わっていく事が可能であり、事業計画を作成し「計画を実施してください。」で終了してしまうのでなく、計画の実行管理まで長く支援できることから顧問契約にこだわることにしました。企業の皆様から顧問契約をいただくためには、戦略的な経営を行うための中期事業計画作成をお奨めすることが有効と思いました。各企業には独自の文化があり、事業計画の作成過程は、企業ごとにカスタマイズされたものになりますが、そのなかでも確固たる作成の流れが必要であると試行錯誤している時にバランス・スコアカードと出会いました。

3.BSCの研究をどんな気持ちで始めたのか

最初は、このバランス・スコアカードが最高のものとは思いませんでした。当時は、大企業の事例ばかりが取り上げられておりUKKのターゲットとする中小企業に導入が出来るのだろうかと疑問を持ちました。しかし、戦略を視覚化できる点などに、非常に興味を持ち、徹底的に研究しようと思いました。そして、書籍を読み、BSC研究会・セミナー等への参加により研究をはじめました。その中で、多くのすばらしい先生方との出会いがありました

4.BSC導入の失敗を重ねて自信に

BSCの研究をすすめていくと、多くの中小企業の実際の導入事例が必要と考え、先ず3社の顧問先にBSC導入の提案を行い、了承をいただきました。その1社では、最初に役員へのBSC説明会を行いました。BSCによる中期経営計画作成のご理解をいただきました。しかし、トップダウンの導入だけで本当に根づくだろうかという大きな疑問が起きました。実際にアクションプランを実行していただく幹部社員さんたちのコンセンサスが何より重要と全社会議での導入の決定報告会を直前に幹部社員さん向けのBSCセミナーに変更してもらい、実施後アンケート調査を行いました。このアンケート調査から経営されている役員には理解いただいていたマーケティング等の経営の専門用語やBSCに使われている重要成功要因・KPIなどの用語が理解されにくいことやサウスウエスト航空の事例は、中小企業とは縁遠いとこの幹部社員さんには敬遠されることが分かりました。それらを踏まえて導入工程や進め方を変更しました。迷いもあったのですが、コンサル仲間に「現場での失敗事例がコンサルの本当のノウハウになるのですよ。」と言ってもらったことが凄い励みになりました。また、尊敬する先生の「上宮さんのBSCを作らないと普通のコンサルで終わってしまいますよ。」という言葉からUKKのBSCの作成を行いました。その最初の自身のBSC作成過程で、自分がコンサル現場でよく社長に言っている言葉「ここにあがっている戦略は今のままで良いという発想の戦略ではないですか、経営ビジョンから考える価値前提の経営の考え方になっていない!それでは変革はできません。」が、そのまま自身の事業計画にも言えました。自分が出来ないことは、現場でも強く言えず実践してもらえないことに気付きました。価値前提のBSCを作り、UKKの変革を行う決意をしました。このことがきっかけで、自身が凄く成長できたと思います。

5.BSCの素晴らしさ

今まで中小企業者の皆様にBSCの導入支援を仕事の柱にしてきました。お手伝いをさせていただいた中小企業も20社を超えました。営業創造鰍フ伊藤社長との出会いから、同社が開発するBSCを活用した事業戦略策定ツール「戦略創造」にも開発からお手伝いさせていただき、私が一貫している導入の流れのソフトを作っていただきました。伊藤社長とは、「小さな会社にも活用できる!バランス・スコアカードの創り方」同友館も一緒に執筆しました。

今、BSCのすばらしさを心から実感しています。もちろん、BSCに取り組んだからといって、すぐに組織が変わるものではありません。しかし、皆で苦労しBSCを導入する中で大きな変化が起きたと思われる以下の点が特にすばらしいと私は思います。
  1. ビジョン達成から考える"価値前提の経営"の考え方で作成することにより"勝つための戦略思考"になり、かつ、戦略マップにより"勝つための戦略"が一目で視覚化できる。
  2. 導入の流れの中で、戦略は幹部社員、スコアカードは現場責任者を巻き込んで検討することにより、多くのコミュニケーションが生まれ、例年にない新しい発想が出てくる。
  3. スコアカードの作成は、戦略⇒重要成功要因⇒アクションプランと現場責任者を巻き込んで細分化していく作業のため、 社員の中に"どうしたらできるだろう"という積極的思考が生まれ、また、やるべき行動(アクションプラン)が今まで以上に具体化する。
  4. 常に経営ビジョンを意識し、多くの社員を巻き込んで戦略やアクションプランを検討するため、"出来ない理由を考えること"から"どうしたらできるだろう"という積極的思考への変化が、多くの社員に起こる。
  5. さらに多くの社員のベクトルが経営ビジョンの達成に向くことにより、自部門の"部分最適"でなく、経営ビジョン達成のための"全体最適"を考え、「他部門にやってくれ」と言う発想でなく、「どうしたらやってもらえるだろう」「自部門が他部門にすることにより他部門から支援してもらえないだろうか」という"支援"の発想が、多くの社員に生まれる。

6.これからのBSCへの取組みと、どんなBSCにしたいのか

BSC導入・CS経営・マッチングの支援をUKKの三本柱にします。
BSC導入・CS経営の支援は、コンサルの中心として現在活動しています。
BSC導入の実績をさらに積み、BSCコンサル顧問先を集めて異業種交流会を2009年に開催し、その中で様々な気づきやマッチングにより夢のビジネス誕生の支援をするつもりです。そのために多くの中小企業者の皆様にBSC導入を行い、その中で多くの気づきを感じ、"BSCの成功者創りの一番"になりたいと思います。また、BSCを通じて、様々なパートナーが生まれました。その方たちへ自分が積極的に分かち合うことで、より多くの気づきを感じていき、皆で夢を叶え合いたいと思います。
私はBSCをもっと分かりやすく、簡単に伝えることが出来ればと思っています。
もっと、もっとシンプルに"シンプル イズ ベスト"を目指し、さらに研究・実践を重ねていきたいと思います。